うさぎの下痢にはいくつかの原因があります。どんな原因であれ、うさぎが下痢をしているときは、命に関わる事態に陥っている可能性が高いので、そのままにしないでください。
適切に対応することで、うさぎの命を助けられることが多いので、この記事を読んでいざというときに役立ててください。
うさぎが下痢をしているのをみつけたら、まずすべきこと
飼っているうさぎが下痢をして且つ食欲も元気もないことに気がついたら、「様子見」という悠長なことはしてはいけません。
すぐに動物病院を受診しましょう。夜間で受け付けていないときは、うさぎの状態を見て、ぐったりしている様子であれば夜間に診察してもらえる病院を探しましょう。
手を尽くしても見つからなければ、祈りつつ朝を待つしかありません。しかしただ待っていてはダメです。
病院へ行くまでにすべきこと
排泄した下痢を持っていく
病院へ行く前に、新しく出た下痢があればビニール袋などに入れて持って行きます。
保温する
身体が冷たければ保温しましょう。軽い毛布をかけたり、湯たんぽなどで保温しましょう。低温やけどに注意してください。
水分を補給する
下痢が続くと脱水症状になっている可能性が高いので、水を与えます。スポイトなどで水を飲んでくれたらよいですが、ダメなときは少量の果物や野菜でも良いです。
容態が悪いときは食べないでしょう。お腹が痛いときは、じっとうずくまっています。何か水分をあげられる方法を考えましょう。
水が飲めるようならば、下の画像の飲料水も有効でしょう。人間も下痢などで脱水したり、汗を大量にかいたときなどに飲むイオン飲料水のようなものです。
上記リンク「アクアコール商品説明」は、メーカーのハイペット株式会社のサイトです。
病院へ行くまでの時間、うさぎの状態の変化などを獣医師に伝えるため、メモを取っておくのがおすすめです。
小動物用の整腸剤として、ベネバックという商品があります。これを使ったからといって、緊急事態が改善に向かうわけではないと思いますが、常備しておくと安心。
それは本当にうさぎの下痢?
柔らかいうんちすべてを下痢というのではありません。まず健康なうさぎが出す便には2種類あることを知りましょう。
ひとつめは丸いコロコロのうんち。ふたつめは少し柔らかくてぶどうの房のように小さな丸いうんちが集まっている盲腸糞。盲腸糞は少しにおいがあって、つやつやしているので、見たらすぐにわかると思います。
- 丸く硬くてコロコロのもの
- 小さくてしっとりした丸いうんちがぶどうの房状になった盲腸糞
時々うさぎが盲腸糞を後ろ足で踏んづけたりして、べったりとつぶれたうんちがついていることがありますが、下痢と間違わないようにしましょう。においが盲腸糞のにおいなので、すぐにわかると思います。
においや形ですぐにわかるためには、日ごろからケージの掃除のときなど、注意して見るようにするといいですね。
うさぎの下痢? 見分け方のポイント
下痢かどうかわからない場合の参考にしてください。
下痢は軟便とは区別されています。軟便は文字通り、通常よりも柔らかいうんち。丸っとした形にはならないことが多いと思います。
下痢は軟便よりも水っぽく、大概はおしりが汚れています。
便の異常に気がつくよりも、様子がおかしいことに先に気がつくこともあるでしょう。
元気がない、目に輝きがない、腹ばいでうずくまりじっとしている、飲まない、食べないなどです。
いつもと明らかに様子がおかしいときは、すぐに動物病院へ行くべきです。
早く気がつくためには、日常的に身体をよく観察することと、排泄物もチェックしましょう。おしっこをしているか、うんちをしているか、量は?形は?色は?においは?などです。
これらの情報は、診察する獣医師にとって大事な情報なので、動物病院へ行ったときにはしっかりと伝えましょう。
軽い下痢だけの場合もあります。下痢はしているけれど、元気があり食欲もある場合には、次の「うさぎが下痢をする原因」の中に心当たりを探し、問題を取り除きましょう。
下痢ではないけれど、おしり周りが汚れる場合
もうひとつ、私も何度か経験があるのですが、おしりまわりがべっとりうんちで汚れてしまう場合があります。盲腸糞が通常よりも軟らかすぎて、べちゃべちゃ、泥のようになっていることが多いです。
これは腸内細菌のバランスが崩れていることが原因です。うさぎは腸内環境が崩れるとたちまち体調を崩し、死に至ることもあるので気をつけましょう。軟便によるおしり汚れについては、別記事で詳しく解説します。
盲腸糞の軟便は、結構においがきついです。その上、おしりにべっとりついた汚れが固まるとやっかいです。硬くこびりついてしまうので、コームなどで取るのは大変です。ぬるま湯のお風呂に下半身をつけて、ゆっくり溶かしながら綺麗にするのがよいでしょう。
うさぎが下痢をする原因
- 食べ物
- 感染
- 薬剤
- ストレス
うさぎが下痢をする原因は、上記4つのうちのどれかと考えられます。以下、詳細を書きます。
食べ物
炭水化物、タンパク質、脂肪を多く含む食べ物の与えすぎ、くだものや緑の野菜の与えすぎ、繊維質の少ない食事により、腸内細菌のバランスが崩れてしまいます。
つまり、繊維質を分解してくれる乳酸菌などの良い菌やバクテロイデス菌などが減り、酵母やクロストリジウム、その他の悪い菌が増えてしまいます。
正しい食事内容であっても、量が少なすぎたり多すぎたりすると、下痢を引き起こします。また食事内容の変化によっても下痢になることがありますので、フードを変更するときには注意してください。
感染
ロタウイルスやコロナウイルス、大腸菌、コクシジウム原虫などの感染が原因で、下痢をします。
下痢を伴ううさぎの伝染病で、ウイルス性出血病があります。このウイルス性出血病は日本では届出伝染病に指定(兎ウイルス性出血病 | ウィキペディアより)されているようです。
多頭飼いをしていてそのうちの1匹に感染症の疑いがある場合には、速やかに下痢をしているうさぎを別の部屋へ移動するなど、他のうさぎから隔離してください。
薬剤
抗生物質(抗生剤)により、腸内細菌のバランスが崩れて下痢になることがあります。そのためうさぎへの抗生物質の使用は、慎重にされなくてはなりません。
うさぎの診察に慣れている獣医師であれば、その点考慮されていると思うので、いくらか安心ですね。抗生物質が処方されたときに、確認の意味で獣医師にたずねてみるのもよいですね。
ストレス
ストレスもまた、うさぎの下痢を引き起こすことがあります。これまで述べた食事や感染や治療のための薬剤の使用などでも、うさぎはストレスを感じるでしょう。
その他うさぎの妊娠、または引越しなどによる生活環境の変化でもストレスを感じるので、いつもと違う変化が起きたときには特には、うさぎの様子を注意深く見るようにしましょう。
子うさぎの下痢は、即命に関わる一大事!
子うさぎが下痢をしていたら、様子見は禁物です。すぐに病院へ行きましょう。
子うさぎの下痢の原因 乳離れの時期
早すぎる乳離れは、子うさぎにとって致命的な下痢を引き起こします。子うさぎも人間と同じで、お母さんのおっぱいを飲んで大きくなります。母乳には免疫に関与する成分が入っているので、乳離れが早すぎると病気に弱い身体になってしまいます。
うさぎの乳離れの時期は生後4~6週間と言われているので、家に迎え入れる時期は早くても生後1ヵ月半、乳離れが遅い子うさぎは生後2ヶ月と言われています。子うさぎを譲り受けたり買ったりするときには、生後何日経過しているかもきちんと確認してください。アメリカでは、生後8週よりも小さな子うさぎの販売は違法とされています。
人間も同じですが、生まれたときは腸内は無菌状態です。特にうさぎの腸はデリケートで、母乳を飲んでいる間に腸内pHを整えたり母親由来の免疫力を備えます。
やがて自分で固形の食べ物を食べるようになると、腸内に微生物が入り込んできます。でも母乳を飲んでいると抵抗力もついているし、良い細菌が住みやすい環境も整っているので、良好な腸内環境作られます。
まとめ
うさぎのトラブル、病気の中では多い下痢をテーマにまとめました。この記事が少しでも多くの方に読まれ、うさぎが下痢になったときに少しでも役にたてていただければ幸いです。
ひどい下痢とまではいかなくても、なんとなく便がゆるい、軟便が続くということは結構あると思います。そんなときのうさぎの身体には何が起こっているのか、次回は軟便をテーマに書きます。
今回、うさぎの下痢をテーマに書くにあたり、下記サイトを参考にさせていただきました。日本語のサイトだけではわからなかった、専門家の書いた情報がたくさん得られ、とても勉強になりました。