食欲がないとき

うさぎが食べないときは、危険な状況にあることを認識しなければなりません。犬やネコと違い、うさぎは丸1日食べない状態は命の危機であることをぜひ知っておいてください。

2017.6.15 全体的にちょこちょこ加筆・修正しました。

うさぎは絶食できない生き物

何時間以上食べずにいると、死んでしまうかというはっきりとしたことは私には言えませんが、うさぎは胃腸の中に食べ物が入っていないとダメならしいのです。犬や猫や人間は、丸一日何も食べないでいてもそれだけで死ぬことはほとんどありません。しかし、うさぎは丸一日何も食べないでいるということができません。

そのため、うさぎの食欲が落ちたなと思ったら、すぐに対処することをお勧めします。なのはっちの場合をこれからご紹介しますので、一つの参考にしていただければと思います。

食べてくれるものを食べさせる

うさぎが食べないという状況は、深刻です。緊急事態と考えてください。普段はうさぎの健康を考えた食事を与えている場合でも、このときだけは身体にいいものを、とは言っていられません。とにかく食べてくれるものを食べさせましょう。

例えば普段好んで食べている野菜、果物の類を試してみてください。野菜や果物は、水分も一緒に摂れるのでおすすめです。

普段大好きだからといって、すんなり食べてくれるとは限らないので、食べなければ他のものを試しましょう。家にあるうさぎが食べられるもの全てを試してみるといいですね。まずはいつも与えているものから順に、口元へ持って行ってあげてください。

「口にするものは何でも」というのは緊急事態に対する一時的な対応なので、すぐに動物病院を受診しましょう。

なのはっちの場合

まず試すこと

なのはっちの場合は、まずいつも食べているペレット、牧草を口元へ持って行ってみます。お皿などに入れていて、食べていなくても口元へ持っていくと食べる時があるかもしれません。

ダメなら乳酸菌やアクティブエンザイムなどの、なのはっちが普段大好きな補助食品を試します。いつもは真っ先にこれらから食べるのに、食べないとなるとかなり心配になります。

そして次は野菜と果物です。家にある野菜と果物のうち、うさぎが食べて良いもののうち、今まで食べさせたことのあるものから試すようにしています。

うさぎが食べてもよい野菜・果物・野草 & 食糞のはなし

歯が悪いのかも?!というとき

ふやかしたペレットを手で食べさせる

老齢で歯が悪くなって、硬いペレットが食べられない可能性もあります。なのはっちは今がちょうどそういう状態です。

ある日、突然ペレットを食べなくなりました。不正咬合の可能性も考えましたが、なのはっちは10歳を超えているので歯が弱くなってもおかしくありません。

そこでペレットを水でふやかしてやわらかくした後、食べやすいように手で小さく丸めて口元へ持って行ってみました。すると食べました!!たくさん食べてくれました。

こうなる数日前から、食欲が落ちているし、噛む音が時々変だなと思っていました。ペレットをやわらかくして食べさせるようになってから、食欲は回復し、体重も増えてきました。

どうしても食べてくれない時は、強制給餌

口元にどんな食べ物を持っていっても食べてくれない時は、強制給餌をします。その前に、必ず動物病院へ行くことは忘れないでください。いつもと状態が違うと感じたら、まず病院へ行くのが基本です!病院へ行って適切な処置を受け、自宅で療養するときのお話の一つが強制給餌というわけです。

前述のように、うさぎは長時間食べ物をお腹に入れない状態が続くと死んでしまいます。病院での処置も大切ですが、自宅での看護はもっと大事です。うさぎが再び自分の意思で食事が摂れるようになるまでの間、人間が強制的にうさぎさんのお腹の中に食べ物を入れてあげるのが強制給餌です。強制というとなんだか嫌な感じがしますが、命には代えられません。以下、手順を説明します。

なのはっちの強制給餌

なのはっちの斜頸が最もひどい頃、強制給餌をしていました。ローリングが激しくて、立っていることができなかったのです。お水と食べ物をシリンジに入れて、口の中に流し込みます。

シリンジの準備


1mlのシリンジ

シリンジはうさぎの大きさによって変わると思いますが、ネザーランドドワーフで1Kg程度の体重であるなのはっちの場合は、1mlのシリンジを使いました。上手に食べさせるには、コツが要ります。まず、シリンジの先を切り落とします。針をつける部分の細くなったところです。

切り落としたら、シリンジはまっすぐの筒状になります。これにより、食べ物が押し出せるようになります。先が細くなっていては、食べ物が押し出せないのです。

食べ物の準備


乳鉢

次にシリンジに詰める食べ物の準備です。普段食べているペレットを、すり鉢に入れて水を適量加え、すり棒ですりつぶします。

水の量は、何度かトライしてシリンジから出しやすい硬さがいいと思います。ペレットの種類によって、水の量も変わると思うので、そこは実際やってみて調節してください。

シリンジに食べ物を詰める

すりつぶしてみるとわかると思いますが、粉々にはなりません!牧草でできているのですから、粉のようにはならないです。粗い状態で構いません。とにかく呑み込めるぐらいまで細かくなればOKです。

つぶれたらシリンジに詰めます。これもなかなか大変な作業です。時間がかかって当然と思ってくださいね。シリンジが細いので、仕方がありません。何度もやるうちに、水の量などを調整しつつ、シリンジに詰めるコツもつかめると思います!

強制給餌に使える?便利そうなもの

注入器と強制給餌用粉末フード

実際に使用したことがないので、良いか悪いかの判断はできませんが、上手くいかなくて困ったときに、試してみるのもよいかと思います。

給餌

シリンジに潰したペレットを入れたら、うさぎに食べさせます。うさぎの体勢は、理想はうつ伏せで口の横のほうからシリンジを口の奥の方まで入れて、ゆっくりシリンジ内のペレットを押し出します。

しかし実際、うつ伏せは難しいことが多いです。うつぶせだと、シリンジを挿入する場所もよく見えません。私がやってみた感じとしては、ちょっと難易度高かったです。ただし、うさぎを床ではなくテーブルの上に乗せて、ある程度自分も屈んで、目線の高さにうさぎの顔が見えるようにできれば、やりやすくなると思います。

次に、私がなのはっちに強制給餌していたときの方法を、説明したいと思います。

なのはっちは斜頸で、激しいローリングがあったため、うつ伏せのままじっとしていることができませんでした。そのためにやむなく仰向けにして、私の太ももあたりの上に寝かせてから強制給餌していました。

仰向けにすると、食べ物が気道へ流れて行きやすいために、あまりおすすめはできません。しかし他にいい選択肢がない場合、細心の注意を払って行います。

頭を起し気味になるように、少し膝を立てるといいと思います。うさぎの身体を少し横向きにできるのなら、横向きもいいと思います。とにかく自分で食べることができないために、誤って気道へ食べ物が流れ込んでしまう危険性をはらむので、注意しましょう。

細心の注意を払ってシリンジはゆっくり押し出すこと、飲み込んでいることを必ず確認すること、うさぎの様子をよく観察して、異常がないかを常に確認しながら進めます。

シリンジはできるだけ口の奥の方に入れて、飲み込みやすくしてあげます。あまり奥まで入れすぎると、うさぎが嫌がります。強制給餌の際に、恐怖感や不快感をうさぎに植え付けてしまうと、次からうさぎの強い抵抗に会い、非常に苦労することになりかねません。ですから、無理せず、安全を第一に、飲み込みやすい深さまでシリンジを入れるようにするといいです。

慣れてくると、うさぎは自らシリンジを加えて、ちょうどいい深さまで口の中に自分で入れてくれて、積極的にゴクゴク飲んでくれるようになります。なのはっちはそんな感じでした。

上手くいかない時は長時間格闘するよりは、少し休んでから再開するといいと思います。強制給餌はできるだけ短時間で、できるだけ頻繁に行うのがいいでしょうね。

そうはいっても、飼い主さんに過度に負担がかかってはいけません。強制給餌が必要なほどのうさぎは、看護が長期になることが多いと思いますので、飼い主さんはあまり無理しないことも肝心です。

始めのうちはできるだけうさぎに時間をとってあげて、様子を見ます。強制給餌の時間間隔を模索してみて、お互い無理のない間隔を見つけることをおすすめします。

うさぎの個体により、飼い主さんの技術の習熟度により、その時間間隔は変わってくると思います。できるだけお互いの負担にならないスタイルを見つけることは、とても大切なことです。

水分補給について

水がうさぎ自身で飲めない時には、飼い主さんが水分補給してあげましょう。スポイトやシリンジを使って、お水を口の中に入れてあげましょう。強制給餌や薬を飲ませるときと同様に、口の端っこの方から先端を入れるとスムーズです。

なのはっちは上の写真のように、横向け~仰向けで少し頭を上げた状態でお水を飲ませていました。強制給餌のときもそうですが、うつぶせは口元が見えにくいために家の中ではやりにくいことが多いのです。丁度良い高さの診察台のようなテーブルがあればよいのですが、高さがあると誤って落下したときが危険ですし。

ところで水分補給は強制給餌をしている間は流動食と同時に水分も摂っているので、あまり必要ないと思います。問題は少し元気になって、自力でなんとか食べ始められるようになったときです。

外出などで不在にするときに、自力で水分補給ができないときにどうしようかという相談を時々受けることがあります。私がした事のある方法の中で、便利なのが生野菜です。あまり長時間の不在には不向きですが、仕事で家を空けるときには使えなくもない手だと思います。

在宅のときは、できるだけこまめにお水をシリンジやスポイトで飲ませてください。外出時や手が離せないときなどは、生野菜を口元近くに置いてあげると届く範囲で食べてくれるので、ある程度の水分補給に役立ちます。野菜は水分の多いものが良いですが、葉物はすぐにしおれるので、にんじんなど葉物に比べたら少し乾燥しにくそうな野菜も加えておくとよいかもしれません。

外出から戻ったら、真っ先にうさぎの様子を観察し、お水をスポイトで少しあげてみてください。水分補給が上手く出来ていなければ、すごい勢いで飲むと思います。そのときは適量をあげてください。

お水のあげすぎに注意しましょう

お水をあげ過ぎると下痢をしますので注意が必要です。生野菜をあげているのなら、その分も考慮して適度な水分補給をしましょう。

どれぐらいの水が適量なのかはうさぎによって異なります。そのため毎日のうさぎの様子をしっかり観察することがとても大切です。

うんちが少し柔らかいようであれば水のあげ過ぎかもしれません。その場合には、少し水を控えめにして様子を見てください。うんちの硬さが元に戻れば水が多すぎたということです。

生野菜をたくさんあげたときは、飲み水を少な目に、あるいは飲ませないようにして、生野菜をあげていないときには、お水を十分に飲ませてください。

またここで一つ注意点があります。うさぎは水を口元に持っていくと飲みます。うさぎ自身が「もういらない」という意思表示をしてくれるならいいのですが、うちの場合は与えた分だけ飲みます。ですから飲みたがるからといって、好きなだけ飲ませていると下痢をしてしまいます。

飼い主さんがきちんと飲ませた量を把握しておくといいと思います。何ml飲ませたかまで把握していなくても、通常飲んでいる量をだいたい把握していればOKだと思います。そのあたりは長期の介護ですから、手を抜けるところは抜いておくことも必要かと思います。

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