うさぎの身体の汚れや毛玉をとる方法

うさぎは本来、自分で自分の毛づくろいをしますので、放っておくのが一番なのです。嫌がるのを無理にグルーミングすることが、うさぎのストレスになるからです。けれどもうさぎが病気になると、毛づくろいができなくなったり不十分になったりして、身体が汚れてきます。そんなとき家でどのようにすればよいかについて、私の長年のうさぎ飼育・うさぎ介護の経験と一般的なグルーミング技術を元に、まとめてみました。

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本来グルーミング(毛づくろい)はうさぎ任せ

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うさぎを観察していると、毛づくろいに費やす時間が長いことに気がつくでしょう。耳を両前肢でこするしぐさが、うさぎ飼いには「萌え」ポーズなようで、昔はその姿を「ティモテ」と言ったものです。今も言っているのかしら?そもそもティモテの由来を知る年代は、40代後半かそれ以上の年代の方ではないでしょうか?まあそれはどうでもいいことですので、ここでは説明しませんが(笑)

飼いうさぎは基本、食べるか寝るか毛づくろいをしているかであるといっても過言ではありません。それぐらい毛づくろいに時間をかけるのです。これは本能です。

うさぎが毛づくろいに精を出す理由

なぜうさぎはいつも毛づくろいするのでしょう。これには理由がちゃんとあります。自然界ではうさぎは肉食動物に食べられる動物です。何かで読んだことがあるのですが、自然の中に生きるうさぎは1-2年しか生きられないと書かれていました。その信憑性はわかりませんが、感覚的にそうだろうなと思うのが一般的ではないでしょうか。ほとんどが食べられてしまうのでしょう。病気もあるでしょう。ちなみにウィキペディアによると、日本の野うさぎの寿命は4年未満でした。linkウィキペディア「ニホンノウサギ」より
そのためうさぎの繁殖能力は凄まじいですよね。「多産・強い繁殖能力」のイメージから、多産・安産の象徴として神社などで祭られています。

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実際うさぎには繁殖期はありません。年中繁殖が可能なのです。生理学的なことを言えば、メスうさぎに生理周期はありません。交配するとその刺激により排卵が起こる交尾排卵動物です。それに1回のお産で多数の子どもを出産します。このことからも、うさぎの繁殖能力がいかに高いかわかりますね。

うさぎが自然界で繁殖するための身体のしくみ

うさぎはさまざまな肉食動物に捕食されますので、どんどん子孫を残していかなければいけないのです。一方でもちろん肉食動物からつかまらないための知恵というか、本能も備わっています。アナうさぎの場合ですが、地面にアナを掘って巣穴を作り、外敵から身を守ります。巣穴を見つけられないように、排泄する場所も決めています。あちこちで排泄していると、それだけ生活の場を肉食動物に悟られる危険性が高まるからではないでしょうか。

またうさぎは体臭がほとんどありません。それはうさぎの臭いが風に乗って肉食動物に感づかれないようにするためでもあるのでしょう。そのためにうさぎは常に毛づくろいして体臭を消しているのではないかと思います。草食動物がそれほどきつい体臭がないのは、草を食べるからでもあるでしょうが、捕食動物に居場所を悟られないためでもあるのでしょうね。

話は毛づくろいからそれてしまいますが、本能ということでいえば、うさぎは捕食されたときに苦しまずに済むように、簡単に心臓が停止するようになっているそうです。骨がもろいこととも関係があるのでしょう。身体を押さえつけられたりひどい痛みを感じると、心臓が停止するように身体ができているというから驚きです。自然ってすごいと、知るたびに思います。だから飼っているうさぎを驚かしたり強く押さえつけないでといわれているのです。

またグルーミングにも関わる知識として、うさぎは毛が抜けやすいです。これは捕食動物に襲われたときに、毛が抜けやすいとそれだけ逃れられる可能性があるからとも言われています。脱線はこのくらいにして、本題に入りましょう。

このように、うさぎは自分で自分の身体をきれいにする習性があるので、健康なうちは基本的に飼い主がグルーミングする必要はありません。問題はうさぎが病気や老化により、自分で毛づくろいをすることが難しくなったときです。または飼育環境により、身体がすぐに汚れてしまい毛づくろいが間に合わないことがあるかもしれません。そのような場合に参考にしていただければと思います。

身体の汚れを取る方法(軽い汚れからひどい汚れまで)

コーミング(くしでとく)

少し汚れている程度であれば、くしでとくだけで汚れを落とすことができます。動物用のブラシ、スリッカーなどがありますが、私はコーム(くし)がおすすめです。ステンレス製のくしが一本あればよいです。

スリッカーとは、下の画像のようなものです。犬のトリミングでよく使われます。私もなのはっちに使ったことがありますが、身体の汚れを取るという目的には向いてないかなというのが私の見解です。長毛種のうさぎで、普段から毛のもつれ防止のためにブラッシングするのなら、スリッカーが便利かもしれませんが、「汚れ取り」という目的であれば、コームが一番使いやすかったです。


スリッカー:うさぎの身体の汚れを取るにはあまりおすすめしない

喚毛期のときには、スリッカーをよく使いました。とにかく毛がたくさん抜ける時期に、毎日スリッカーでブラッシングしてあげると、部屋に舞ううさぎの毛が少しマシになりました。私はうさぎに対してアレルギー持ちの上、喘息も持っていたので、抜け毛には非常に神経を使いました。

別の機会に喚毛期の過ごし方や、アレルギー、喘息持ちの飼い主さんの注意点などをまとめた記事も書こうと思います。

うさぎの身体の汚れ、毛玉とりに便利なコーム(くし)

盲腸糞が毛に絡み付いてしまったとか、毛玉ができてしまったという場合に、確実に狙った場所をきれいにするためにコームが最も便利。ただしコームが威力を発揮するのは、汚れた部分や毛玉が比較的小さい場合です。まずはコームとはどのようなものか見てください。下の画像です。


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くしで汚れをほぐしながら取る

別に難しいことはなく、取り除きたい箇所をくしで少しずつほぐしながら、丁寧に取っていくだけです。あまり力を入れすぎると痛いので、うさぎが嫌がります。うさぎは毛が抜けやすい動物なので、簡単に抜けてしまう毛は抜きながらきれいにしていきます。汚れがなかなか取れない場合には、塗らしたタオルなどでふやかすと取れやすくなります。時間がかかりますので、一度で取ろうとせず何回か(何日か)に分けて取りましょう。

あまりにひどいときには毛の根元から毛を汚れや毛玉ごとカットします。その場合は、ハサミの先でうさぎの皮膚を傷つけないように、十分注意してください。広範囲のお尻周りや足の汚れに関しては、半身浴がおすすめです。慣れるとうさぎも気持ちがよいと感じてくれるかもしれません。半身浴については、次の項で説明します。

介護が必要になってしまったうさぎに対しては、毎日最低1度は身体をきれいにしてあげてください。一日に1度、くしで汚れを取ってあげていると、手入れが非常に楽になります。汚れは放置していると、元に戻すのに時間がかかりますし、皮膚炎になってしまい、うさぎの身体にも負担をかけてしまいます。

汚れは小さいうちに。本来なら常時自分でしていた毛づくろいですが、介護うさぎはそれを飼い主にゆだねるしかないのです。必ず毎日最低1回は身体の汚れをきれいに落としてあげてください。それから皮膚に傷があったり、排泄物の付着により皮膚が赤くなっている場合には、念のために消毒をしてあげましょう。皮膚の状態が落ち着くまで、一日に少なくとも1度は消毒を続けましょう。

お尻周りや足のひどい汚れを簡単に落とす半身浴

うさぎが怖がらなければ、半身欲がおすすめです。洗面器にぬるま湯を入れて、うさぎを後ろ足からそっと洗面器に入れてあげます。必ず両手でうさぎの身体を支えて、安定させましょう。うさぎの両前肢から胸にかけて片手で支えて、もう片方の手でうさぎのお尻部分を支えます。後ろ足は必ず洗面器の底に安定させてつけてあげましょう。うさぎは身体がグラグラしていると、不安を感じて嫌がります。

汚れている部分がお湯につかればよいので、足の裏やお尻周りだけでもお湯に入ればOKです。少しお湯に浸かっていると、毛に固くこびりついた汚れがふやけてきます。そうなってきたころに、片手でお尻をささえつつ、その手で汚れで固まったお尻周りの毛をほぐしていきます。割りに簡単にきれいになります。

洗面器のぬるま湯は何度か換えてください。ほぼ汚れが取れたら、タオルでしっかり水をふき取った後、ドライヤーで軽く乾かしてあげてください。

何事も完璧を目指さないようにすることが、上手くいくポイントです。汚れを落とすのも、ドライヤーでの乾燥も、ほどほどで大丈夫です。何よりうさぎが嫌がっていないかが大事なので、気をつけて見てください。

半身欲のお湯は熱過ぎず冷たすぎず。ドライヤーは身体から離し、熱風にならないように。ほどよいあたたかさは、うさぎが喜ぶはずなので、半身欲中やドライヤーでの乾燥中は、うさぎが気持ちよさそうな表情をしているかどうか、気をつけてみるようにしましょう。

グルーミングのまとめ

グルーミングは一日に1回

寝たきりや病気により、自分で毛づくろいが十分にできないうさぎの場合は、人間が一日に1回はグルーミングしてあげましょう。最も簡単なのは、手で撫でてあげることですが、それだけでは取れない汚れがたくさんあります。寝たきりや病気のうさぎの場合、特におしり周りの汚れが問題になりますので、くし(コーム)で優しく丁寧に汚れを取ってあげてください。

汚れがひどく、コームでは取り除けない場合、ハサミで切る手段もあります。毛の根元近くからバッサリと汚れが絡みついた毛ごと取り去ります。このときに皮膚を傷つけないよう、細心の注意を払ってください。毛玉ができてしまったときも、コームでダメならばハサミでカットしましょう。

汚れや毛玉を放置していると、その部分の皮膚に炎症が起きてしまうことが多いです。うさぎの皮膚は湿るとすぐに炎症を起こし、カビや細菌などが繁殖する事態になってしまいます。毛を清潔に保つことは皮膚を清潔に保つことにもなります。カビや細菌が繁殖し始めると、その部分に脱毛が見られます。そうなる前に、皮膚が炎症を起こしているなと思った時点で消毒をしてください。早めに手当てすると直りも早いです。脱毛すると、皮膚が治り、その後に毛が生えてくるのでかなりの期間、ハゲた状態になってしまいます。

皮膚の消毒は、動物病院でもらったものがなければ、ドラッグストアで人間用の「イソジン」を水道水で10倍希釈すれば、うさぎに使うことができます。イソジンはうがい薬ではなく、「イソジンきず薬」ですのでお間違いのないようにしてください。


イソジンきず薬

!!注意!!
イソジンきず薬の希釈液は、ほどんとが水なので腐ります。使用後は冷蔵庫保管にして、数日のうちに使い切りましょう。1回分ごとに作るのが理想ですね。私はそうしていましたが、面倒な人は2-3日分をまとめて作るといいかもしれません。水は滅菌水ならなおさら腐りやすいですので注意してください。保存容器が滅菌済みであっても、空中には雑菌が舞っていますので、普通の家で調整したものは必ず数日で腐ると思ってくださいね。

ひどい汚れが簡単に落ちる!ぬるま湯半身浴

汚れが頑固にこびりついている場合、無理にとろうとすると皮膚を傷めることもあるので、半身浴がおすすめです。そもそもうさぎは身体が塗れることを嫌がるので、反発されるかもしれません。けれども穏やかに声をかけつつ、無理せずに始めは足を少しだけつけるなどして、大丈夫だということをわからせてあげてください。

あまりに身体が弱っているときは危険ですが、寝たきりでも体調が安定していて食欲があれば大丈夫だと思います。(ここは飼い主の責任において判断してください。)

詳しいことは前述した半身浴の項目をご覧ください。ぬるま湯を洗面器など小さめの容器に入れて、後ろ足だけか、後ろ足とお尻部分がお湯に浸かればよいです。頑固な汚れのほとんどがお尻周りと後ろ足部分だからです。寝たきりだったなのはっちは、半身浴中はうっとりとした目をして、おとなしくしていました。耳が遠かったらしく、ドライヤーの音を怖がらなかったのは幸いです。熱風なので、かなり遠くから風を当ててください。

うさぎの身体チェックもついでにしよう

グルーミングのついでに、身体の隅々を観察して、異常がないか確かめましょう。寝たきりのうさぎで気をつけたいのは、床ずれです。特に斜頸などをわずらっていて、寝かせる方向が変えられないうさぎは要注意です。歩かないとやせてくるので、足周り、お尻周りの骨が出ているあたりに気をつけてあげてください。床ずれが見つかったら、まず患部を消毒して、ふかふかのクッションやマットなどを使うようにしてください。下に寝たきりうさぎの介護に非常に役立ったマットを紹介します。

吸水力が非常によく、おしっこをしても体がほとんど濡れずに済みました。一日に小型のうさぎで2回マットを交換していたので、それなりに洗い換え用のマットにコストがかかるし、洗う手間もかかりますが、おそらくペットシーツよりもうさぎは快適であると思います。SUSUマットという商品ですが、同じような商品はたくさんあります。けれどこのSUSUマットの吸水力は特に優れているようで、その点、高く評価されているようです。


SUSU バスマット 速乾 抗菌 36x50cm

顔、特に目の周りは目やにで汚れやすいので、よく見てあげましょう。目やにが多いということは、目に異常があると思ってください。目の病気は見ていて痛々しいものです。早めに処置してあげたいものです。まずは動物病院で点眼薬をもらうのが一番だと思います。

耳の中も、のぞいてあげてくださいね。なのはっちは自分で毛づくろいできないので、耳の中がすぐに汚れてしまっていました。定期的に赤ちゃん綿棒(普通の綿棒よりも細い)とベビーオイルでお掃除していました。あまり奥まではする必要はありません。次第に外に出てくるので、見える範囲できれいにしてあげてください。

  
赤ちゃん用綿棒とベビーオイル

400年前のガラミ酒再興プロジェクト
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