ケージを噛む癖を直すために

うさぎのケージを噛む癖について、原因から対処までをわかりやすく解説します。

意外と多いうさぎの問題行為の中のトップクラスに、「ケージを噛む」があると思います。ケージを噛む音は結構うるさいですし、何よりうさぎにとっていい事とも思えません。そこでケージを噛む原因とそこに潜む危険、そして噛み癖を直す方法をいくつかご紹介します。なのはっちも噛み癖がありました。幸い噛み癖はなくなりましたので、そのこともページ最後あたりに書きます。

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なぜうさぎはケージを噛む? <原因>

こんなときにケージを噛むだろうと思われる理由を、いくつか挙げてみます。

何か齧りたい

うさぎは人間と違い、生涯歯が伸び続ける動物です。うさぎは牧草など硬い物を歯ですりつぶして食べます。毎日歯ですりつぶしていると、歯は摩耗してしまいます。そこで歯がすり減ってしまわないように、うさぎの歯は伸び続けるのです。

柔らかいペレットや生野菜や果物ばかり食べていると、歯が伸びる一方でそのためにうさぎは何か硬い物を齧ろうとすることがあると思います。その可能性があるときには、まず食生活を見直しましょう。牧草をあげても齧るようなときは、齧り木をケージ内に設置してはいかがでしょうか。

ホームセンターでもうさぎの齧り木は売っています。もちろんうさぎ専門店でも売っています。いろんな齧り木があるので、いろいろ試してみてください。下の画像は一例です。


【マルカン】かじり木コーンS

安価です。試しに置いてみるにはありがたい価格です。ケージにとりつけるタイプなので、本気でガリガリかじりたいうさぎにはおすすめです。ステージになるかじり木もありますが、ハムスターなどにはいいけれど、うさぎにはちょっと小さくてステージにはならないです。なのはっちは若い頃、このかじり木が結構好きでした。


カワイ うさミミ かじり木牧草BOX

ケージに取り付けられる牧草入れ。木でできているのでかじり木にもなります。これはなのはっちに使ってみましたが、かじることはなかったです。


KAWAI かじリングバー・パパイヤバー

これはかじり木とは違います。パパイヤの茎を乾燥させたものです。そこそこ硬いけれど、人間の指で割ってちぎることができるくらいの硬さです。かじり木のかわりになるおやつという位置づけでしょう。
なのはっちは晩年、これが好きでした。おやつとして食べていましたが、年老いても歯は丈夫で、バリバリ食べていました。

何か要求している

うさぎが何かを要求していることが考えられます。
例えば

  • お腹がすいたから食べ物が欲しい
  • ケージから出してほしい
  • かまってほしい

これらが原因の場合、うさぎの要求に応えるとケージ噛みが止まります。しかし止まるといっても一時のことだけです。また何か要求があると、ケージを噛むのです。この場合、うさぎはケージを噛むと飼い主が自分のところへ来てくれると思っている可能性があります。もしそうなら、ケージ噛みは果てしなく続きます。

ケージを噛むとガタガタ音がしてうるさいです。気にならないというならいいのですが、普通は不快です。不快なだけならまだいいのですが、うさぎの身体に深刻な問題を引き起こします。だからできればやめさせたいですね、ケージ噛み。

うさぎがケージを噛み続けるとどうなる <問題>

うさぎがケージを噛み続けると、実は大変なことになる危険性があります。

不正咬合になるリスクが高くなる

うさぎがケージを噛み続けることで、歯がゆがんでしまい上と下の歯がかみ合わなくなります。これを不正咬合といいます。噛み合わせが悪くなると、うさぎの場合大変なことになるのです。うさぎの歯が生涯伸び続けることは、すでに書きました。かみ合わない歯が伸び続けるとどうなるでしょう。軽く見過ごすことはできない、深刻な事態になります。

不正咬合とはどんな病気か?

うさぎは生涯歯が伸びる動物です。普段は牧草を食べることで歯が摩耗して一定の長さを保っています。しかし歯がかみ合わなくなると、食べることにより歯が摩耗しないので、上と下の歯がどんどん伸びます。

やがて口が閉まらなくなり、開かなくもなり、唾液で口周りが濡れたり毛づくろいもできなくなります。身体は汚れる一方だし、食糞だってできませんから、お尻周りは悲惨なことになってしまいます。食事が思うようにできないので、早く対処しなければ命にかかわります。

不正咬合はケージを噛むこと以外にもいろんな原因があります。

不正咬合の治療は?

伸びたうさぎの歯をカットする方法と、抜歯する方法があります。歯をカットするとしても、ニッパで麻酔なしで切る方法や、きちんとした歯科器具を用い、全身麻酔できれいに切る方法があります。抜歯ももちろん麻酔をかけますね。抜歯以外の治療法は、うさぎは生涯動物病院通いとなります。

なのはっちは幸い不正咬合にはならなかったのですが、とても多い病気です。

2016.12に、不正咬合についての記事を書きました。
うさぎの不正咬合について、原因と治療そして予防までをまとめました。意外と多い疾患の一つである不正咬合。後天性の不正咬合は、生活習慣で予防でき...

うさぎのケージ噛みをやめさせるには<対処>

うさぎが不正咬合にならないためにも、人間の生活環境を良好に保つためにも、ケージを噛む癖をやめさせたいですね。なのはっちの場合も振り返りながら、対処方法をいくつか挙げてみます。ここではこのページの初めに紹介した、「かじり木」を設置しただけでは改善が見られなかった場合を前提に説明します。

噛むところに苦い味を塗布

噛むところに苦み成分をスプレーしたり塗ったりして、かじりを防止する方法があります。


ビターアップル スプレー

これはりんごの皮の苦み成分入りです。この製品に入っているリンゴの皮の苦み成分とは、ポリフェノールと思われます。ポリフェノールだったらうさぎの口に入っても安全か?と問われると、私にはわかりません。少なくとも人間は口にしていますよね。健康に良いとされているぐらいなので、特に問題はないと思います。

むしろ「イソパノール」の方が気になります。イソパノールとはイソプロピルアルコールのこと。アルコールです。うさぎにアルコールはNGであることをご存知の方は多いと思います。ちなみに毒性はエタノールよりもやや高いらしいです。とはいえ、日常私たちが使うものに入っています。化粧品にも入っています。けれど口に入れるものには使われていない気がします。

ではこの製品は大丈夫?というと、わかりません。どれぐらいの量入っているのかわからないし、ラベルの先頭(水よりも前)に書かれているので主要な溶剤になっているのかもしれません。しかし飲ませる用途ではなく、あくまで塗布して噛み防止の製品なので、それほど気にすることはないかもしれません。不安ならば、止めた方がいいというレベルと私は考えます。私は使ったことありません。

その他にも以下のような、同じ塗るタイプの噛み防止剤があります。


ナメカジノン・トフ

ナメカジノン・トフに使われている苦み成分は「植物抽出苦味成分」と書かれているようです。具体的に何であるかはわかりませんが、植物由来であることは確かです。私の個人的意見ですが、天然とか植物由来だから安全ということにはならないと思います。中身が何であるかはわかりませんが、そう神経質にならなくてもいいかなと思います。この製品はトウガラシも入っているみたいです。

噛むところを噛めないように板でガード

噛む場所全体をガードしなくてはならないので、広範囲に対策を施す必要があります。しかしこれは噛もうと思っても噛めない形にしてしまうため、効果は絶大です。もしもうさぎが決まった場所しか噛まないというのなら、私はこの方法が一番のおすすめです。


ひっか木フェンス

噛む場所に設置します。ケージの内側から固定できるので、齧りたくても齧れません。どうしても齧りたいときは、このひっか木フェンスを齧ってくれます。齧る音はケージを齧るよりもずっと静かで耳障りな種類の音ではありません。(←私の感覚です。)

なのはっちの齧り癖は、この手の製品で直りました。なのはっちはいつもケージの扉を噛んでいました。お腹がすいた時や、おやつの匂いがしたときにも待ちきれずに噛んでいました。ケージの外で遊びたがっているときも、噛んでいました。そこでケージの扉一面に、板を内側からとりつけたところ、数年後には取り外しても噛まなくなりました。とりつけたときには、ケージ内部が見づらいのが嫌でしたがすぐに慣れました。

この対処法でいくなら、市販品ではなくても自作のものでもいいですね。私は工作が苦手なので市販品で対応しました。市販品にはひっか木フェンスの他にも下のような製品もあります。


カワイ がじがじフェンス S・M

これはうさぎによってはすぐに破壊されてしまいそうな気がします。うさぎの破壊力はすばらしいので、飼っているうさぎに合わせて板にするか棒状の柵にするか考えたほうがよさそうです。

なのはっちの場合

いつも噛む部分に板をあてた

いつも噛む部分に板をあてた

わかりやすい写真が見つかりませんでした。写真の左端に板が見えますか?なのはっちは扉の柵を噛むくせがありました。どんな時に噛むかというと、お腹がすいたので何か欲しい時、かまってほしい時、ケージの外に出たいときでした。

噛むのをやめさせるために、ケージの扉を開けて要求をかなえてあげるという行為をしていると、一時はおさまりますが、また何か要求があるときにはケージを噛むようになります。なのはっちがそうでした。ケージの柵を齧るたびに要求をかなえてあげるという行為を続けている限りは、悲しいことにケージを噛む行為はなくなりません。

まずは齧り木やおもちゃをあげてみました。けれども何か噛みたいという理由でケージを噛んでいるわけではないために、齧り木は齧るけれどもケージの柵を噛むくせはなくなりませんでした。次に噛む扉部分に、ケージの内側からほぼ扉全体がカバーできる大きさの板を取り付けました。

なんとこの板を取り付けた日から、ケージの柵を噛まなくなりました!噛まなくなるというより、噛みたくても噛めないようにしたのです。この板を取り付けたことにより、正面からなのはっちの様子を見ることができなくなりましたが、ケージの柵を噛まなくなるメリットの方が大きかったので、多少の不便もガマンです。

この板を何年つけていたでしょう。2-3年かな?正確には覚えていませんが、数年間つけていました。もうそろそろいいだろうと思って、板を外したところ、ケージを噛むくせはなくなっていました!板を外したときから、お月さまに帰るまで、一度も柵を噛むことはなかったです。かなり根気がいりますが、どっちが諦めるか、我慢比べですね(笑)。

400年前のガラミ酒再興プロジェクト
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